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セカンド・チャンス(OCG) 永続魔法 自分がコイントスを行った場合、その処理時に1度だけ、 コイントスを最初からやり直す事ができる。 「セカンド・チャンス」の効果は1ターンに1度しか適用できない。 ギャンブル 永続 魔法
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セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg 夜明けの高速道。 黒い道とグレーの壁が延々と続くそこを、衝撃のアルベルトは西に向かってひた走る。 腕を組み、葉巻を吹かしながらの高速度走行。 上半身を全く動かさずしてアスリート以上のタイムをはじき出すそれは 身体能力に欠ける人間には決して真似できない超人芸である。 しかしながら、アルベルトはBF団にその名を連ねる裏世界のトップ10、十傑集が一人。 このくらいの芸当は朝飯前であった。――本来ならば。 現在、アルベルトの額にはいくつもの汗の玉が浮かんでいた。 呼吸は不規則に乱れ、心臓は明らかにいつもよりアップテンポにビートを刻んでいる。 また、走行に伴う振動が伝わるたび、先ほどの戦いで受けた傷がジンジンと痛みを主張する。 ただ走る程度でこの体たらく。 そんなことになってしまったのは何故か。 もちろん、この世界が一定以上の超越的能力に対して課している制限も理由の一端を担っていたが もっとも大きい要因は、単純に、彼が大きく消耗していたという事実であった。 (くっ……思ったよりも疲労が大きい) アルベルトは歯噛みする。 彼は東方不敗との戦いで、予想以上のダメージを被ってしまった。 ここが殺し合いゲームの盤の上であることを考えると 初っ端からこのようなハンディを背負うのは正直、好ましくない。 もし、この不完全な状態のまま、もう一度、東方不敗クラスの人間と戦うことになれば、今度は命の保証がない。 一般論で言えば、ここは一刻も早く休養をとり、体力を回復させるべきだ。 しかし、彼は、衝撃のアルベルトはそうしなかった。 彼には今や休むことのできない理由があった。 (戴宗……貴様はどこにいる?) 神行太保・戴宗。 BF団の宿敵、国際警察機構の幹部であり、自分から右目と無二の親友を奪った男。 彼の生涯最大のライバルと言っていい人間。 二人は既にお互いの手の内を知り尽くすほど、死合いを重ねていたが、未だその決着は着いていない。 いや、正確には着いていなかったというべきか。 (あんなものが、あんなものが決着などと……ワシは絶対に認めんぞ) アルベルトがこの世界に召喚される直前にエージェントとして参加していた一つの作戦 上海油田壊滅作戦の過程において、彼は確かに戴宗を打ち破り、息の根を止めていた。 だが、それは、長年戦い続けてきたライバル同士の決着としては、あまりに不本意なものであった。 作戦の最終局面、戴宗は仲間を逃がし、上海油田を守るためにあえて自ら盾になり、命を散らしたのだ。 彼はアルベルトと力の優劣をつけることよりも、仲間を、世界を守ることを選んだのである。 だが、アルベルトにとって、その結末は、到底納得のいくものではなかった。 (ワシとお前の決着はお互いの全てを出し切り、ぶつかることによってのみ着けられるはずだった! ワシとお前の戦いは、十傑集と九大天王の戦い、BF団と国際警察機構との戦いだ。 その高貴な戦いが、あんな形――ワシとお前の実力以外で決まることなど許されん!) 彼はそのように考え、望んでいた。 しかし、その望みは戴宗の死によって永遠に絶たれ 彼はこれ以降、悔恨を抱えながら生きねばならないはずだった。 ――もし、この場に呼ばれることがなかったなら。 走りながらスーツの内ポケットに手を差し入れ、一瞬で引き抜く。 その手に握られていたのは、一枚の紙。この殺し合いの参加者名簿。 アルベルトはその中の一点を見つめると、口の端をわずかに上げ、薄く笑った。 このゲームが始まってから何度目になるか分からない確認作業。 彼が見つめるそこには一つの名前が間違いなく書かれていた。 ――神行太保・戴宗 嘘かもしれない。同名の別人かもしれない。もしくは何かの罠かもしれない。 その記述を否定する理屈はいくらでもこねることができた。 だが、そんな瑣末な理屈はどうでもよい。 戴宗がこの場にいる。戴宗ともう一度戦える。 そう考えるだけでアルベルトの胸は自然と躍った。全身に負った傷も心なしか軽く感じられた。 それは、失ったモノへの飢えがもたらす、この上ない興奮だった。 だから、アルベルトは休むわけにはいかない。 戴宗は自分との決着よりも、正義やら仲間の命やらを重んじる男。 もし、殺し合いに巻き込まれた弱者や、殺し合いに乗った悪党を見たならば、強きを挫き、弱きを救うだろう。 自らの命を顧みず、あの上海油田のときのように。 もしかしたら、戴宗はその果てに命を落とすかもしれない。あのときと同じように。 それだけは、それだけは何としても阻止しなければならない。 そんなことになってしまえば自分はもう耐えられないことをアルベルトは知っていた。 だから、会わねばならない。戴宗が生きているうちに、一刻も早く。 そして決着を。今度こそ正々堂々、正面から決着をつけるのだ。 ◆ 「むっ!?」 高速道の途中、A-6とA-5の境界付近に差し掛かった時、アルベルトは不意に足を止めた。 そこは今までと何の変わりもない高速道路。黒い道とグレーの壁と銀の照明だけがただ立ち並ぶ、そんな場所。 しかし、彼はその景色に潜むわずかな違和感に気がついていた。 「出て来い。ワシに隠行は通用せんぞ」 どこも同じに見える壁の一点、照明の支柱を設置するために壁が凹んでいる一点を睨みつけ、言い放つ。 一瞬の沈黙の後、照明の支柱の裏側、コンクリート壁との間から人影が現れた。 出てきたのは、派手なマスクを被り、軍服を身に纏った長身の男。 その身体は肉付きがよくガッチリとしており、とてもあの狭い隙間に潜んでいたとは思えない。 「私の隠れ身の術を見破るとは……貴様、只者ではないな?」 「フン、幸いなことに忍者の同僚には恵まれておってな。そのテの術は一通り経験済みよ」 彼の隠れ身はゲルマン流忍術熟練の技であり 余程のことがなければ見抜かれることのない代物であったが、今回ばかりは相手が悪かった。 マスク・ザ・レッドや直系の土鬼、混世魔王・樊瑞といった 一流の忍者・道士たちの技を日常的に眼にしているアルベルトにとって この程度の隠れ身を見破るのはさほど難しいことではなかったのである。 「で、貴様一体何者だ?こんなところでコソコソと……何をしていた?」 アルベルトが問う。その語調は、静かながらも剣呑なものであった。 「私の名はシュバルツ・ブルーダー!殺し合いをするつもりはない! 身を隠したのは、相手が何者か知れなかったが故、様子を見ようと考えてのこと。 どうか許してもらいたい」 シュバルツはいつもの堂々とした調子でこれに答える。 隠れ身を看破されたにもかかわらず、その声にさしたる動揺は見られない。 だが…… (厄介なことになったな……) 覆面の裏の顔に一筋の汗が流れる。 外面こそ平静を保っていたが、シュバルツは内心焦っていた。 彼は先ほどの邂逅の後、少しの逡巡を経て、ドモンと名乗った少年に接触することを決めていた。 少年がどういうつもりで偽名を使っているのか、正直、見当もつかない。 だが、何にせよ、年端もいかない男の子を一人で殺し合いの場に放置するわけにはいかない。 そう判断したのである。 赤い髪の少年には、男の子に接触し、保護した後に追いつけばいいだろう。 まだ、そんなに遠くには行っていないはずだ。 万が一見失ってしまった場合だが、そのときは……残念だが諦めるしかない。 だが、赤髪の少年も自分も目指す目標は同じ。いる場所は違えども、お互いに縁があれば、再び会うこともあるだろう。 彼がアルベルトの気配を感じ取ったのは、そうして考えをまとめ、少年の後を追おうとした矢先だった。 一瞬、接触することも頭をよぎったが、こうしている間に少年に何かあったら大事だ。 知り合いでなければ声をかけずにやり過ごすつもりでいたのだが、まさか発見されるとは夢にも思っていなかった。 シュバルツは注意深く、目の前の人物を観察する。 黒いスーツに片眼鏡の中年男性。全体に上品な雰囲気を漂わせており、外見だけなら上流階級の人間にも見える。 だが、それが彼の本質でないことは、彼の発する雰囲気から明らか。 一片の隙もなく地面に屹立したその身体からは、押し殺された闘気と殺気が漏れ出し 今にもシュバルツに向かってその牙を剥かんと構えているかのようだ。 話をしてみなければ男がどういう人間かは分からないが、第一印象だけでものを言うなら どちらかと言えばこのゲームに乗りそうな、暴力的な人間に思える。 身体能力の方も、ここまでの走行を見ている限り、ガンダムファイターと互角かそれ以上。 もしも、ここで話がこじれ、戦うことになれば、苦戦は必至だろう。 (ここはできれば穏便に済ませたい……だが、もしもこの男が殺し合いに参加するというのなら!!) シュバルツは拳を硬く握り、気を張り詰める。 男が殺し合いに乗っている人間だとしたら……みすみす見逃すわけにはいかない。 しかし…… 「そう構えるな。心配せんでも貴様を殺す気などない」 アルベルトが返したのは、案外と穏当な返事であった。 彼はシュバルツがその応えの意味を飲み込み終わり、警戒を解くのを待ってから言葉を続ける。 「申し遅れたな。ワシの名はアルベルト。 シュバルツよ、貴様に聞きたいことがある。戴宗という男を知らんか?」 白い頭巾を被り、赤と白の民族衣装に身を包んだ東洋人の若者。 手や足からジェット噴射のように衝撃波を出す拳法の実力者―― 戴宗の特徴を聞いたシュバルツの頭に、東方不敗の姿が思い浮かんで消えた。 「いや、残念ながらそんな人物は知らんな」 「そうか」 アルベルトは気のない調子で返事を返す。 この80余名の人間がいるこの会場でただ一人の人間の行方を問うたところで 有効な情報がそうそう得られないことくらい、彼は初めから予想済みだった。 だから、この後にする提案についても事前に抜かりなく用意ができていた。 「では、お前に伝言を頼みたい。もし今後、戴宗に会うことがあれば……」 ◆ 「分かった。戴宗とやらに会ったときは、その言葉、間違いなく伝えよう。 ……だが、貴様、その男とはどういう……?」 伝言を聞き終わったシュバルツは引っ掛かりを感じずにはいられなかった。 アルベルトが託したそれは、ただ単に仲間と合流するためのものにしては いささか不可解なものだったのである。 生じた疑問を解消するため、彼は目の前の男に対し、質問を試みようとする。 だが、それは、完全な質問の体をなす前にアルベルトの一言によって打ち消される。 「詮索は無用。貴様はただ伝言を伝えてくれればそれでよい」 「なっ!」 「ワシにはお前達といちいち話をしている時間はないのだ!」 シュバルツにとって、この答えは予想外のものであった。 ……しかし『答えられない』という答えはある意味で彼が抱いた違和感を払拭する。 つまり『答えられない』ということは、アルベルトと戴宗は『他者に知られたくない関係』だということだ。 少なくともアルベルトにとっては。 だが、もしそれが正しいとすると、また新たな疑問が生まれざるを得ない。 すなわち「この場において『他者に知られたくない関係』とは一体何か?」ということである。 シュバルツは、表情を変えないアルベルトの顔を見据えたまま考える。 しかし、彼の頭に答えが浮かぶことはなかった。 実は一瞬だけ「まさかおホモだちかっ!?」という考えが浮かびかけたのは秘密だ。 「そう怖い顔をするな。貴様が納得いかんのもまあ、分かる。 ……だから、タダで伝言を伝えてくれとは言わん。取引といこうじゃないか」 アルベルトの一言で、思考の堂々巡りから現実へと引っ張り戻される。 「……取引だと?どういうことだ?」 ワケが分からぬまま、シュバルツは思ったことをそのまま口に出す。 「もし貴様がワシの伝言を引き受け、かつ、これ以上の詮索をしないというなら…… ワシもお前の伝言を一つ預かってやろう。ワシもお前が誰にどんな伝言をしようと詮索はしない しかも……」 言いながら、彼はズボンのポケットへと手を伸ばし、何かしらの道具を取り出した。 シュバルツは警戒し、身を硬くするが、次の瞬間にはそれが武器でないことを理解する。 アルベルトの手の中で朝日を受け、銀色に鈍く輝く長方形の機械――それは、ボイスレコーダーだった。 「貴様の場合は、肉声伝達のサービスつきだ。こうしておけば貴様の仲間にワシが疑われることもあるまい?」 「……なるほどな」 「どうだ?リスクなしで仲間と会える確率が上がるのだ。悪い話ではなかろう ああ、貴様の声をネタに仲間に取り入り、不意打ちされるのが心配か? それなら、ワシが信用ならん奴だということを伝言と一緒に吹き込んでおくことだな。 幸い、このレコーダーは旧式でな。編集機能までは付いておらん」 その真偽を確かめるため、シュバルツはレコーダーを手に取り、機能を確かめる。 なるほど。一通り見た限りでは、確かに編集機能は付いていないようだ。 だが、やはり引っかかる。妙な言い回しの伝言も。彼が纏う物々しい雰囲気も。 シュバルツの本能は、目の前にいる男の潜在的な危険性を鋭く嗅ぎ取っていた。 アルベルトがもしも、何かしらの陰謀を企んでいるとするならば、ここでその芽は摘んでおかなければならない。 「……三つ質問がある。伝言への詮索以外でだ。 両方の質問に納得の行く答えが返ってきたならば、この取引、乗ってやろう」 「……いいだろう。言ってみろ」 若干不愉快そうな表情を見せるアルベルト。 だが、彼は物怖じすることなく、むしろはっきりと質問を口にした。 「一つ!貴様は結局、殺し合いに乗っているのか否か!? 二つ!貴様はこれ以後もこの『取引』とやらをやり続けていくつもりなのか!? 三つ!この『取引』を断った人間をどうするつもりなのか!? 自らの主張を通したくばこの三つ揃い、全て明確にお答えいただこう!」 目を見開き、指を突きつけて詰問する。 アルベルトは不機嫌な顔のまま、低い声で答えを口にした。 「……よかろう。 一つ、ワシはこんな馬鹿げた殺し合いに喜び勇んで参加するほど阿呆ではない。 二つ、その通りだ。 三つ、どうもせん。交渉が決裂したなら、黙って去るだけだ。ただ……」 瞬間、空気を切り裂く鋭い音が響く。 頭がそれを何か理解する前に、シュバルツの身体は素早く反応し、身をよじっていた。 次の刹那、さっきまで、彼の頭があった空間を細長い何かが貫通し、壁に突き刺さった。 警戒を強めながら、横目でそれを見る。 刺さっていたのは、アルベルトが咥えていた葉巻だった。 「ワシの時間を必要以上に浪費させる輩に容赦はせん。 さあ!ワシは答えたぞ!そっちの答えを聞かせてもらおうか」 言葉に反応し、シュバルツが向き直るのと、頬に熱を感じたのとはほぼ同時だった。 覆面が切れ、赤い血が滲んでいる。 アルベルトが口から放った葉巻は、顔をかすっていたのだ。 その事実を認識した時、彼の答えは決まった。 ◆ 「さあ!ワシは答えたぞ!そっちの答えを聞かせてもらおうか」 「いいだろう。こちらの答えは……NOだ!」 そう言い放つとともに、シュバルツは即座に構えを作り、臨戦態勢に入る。 「……どういうつもりだ、貴様」 口調が震えている。 もはや、彼の不機嫌は静かな怒りの域にまで達しようとしていた。 「細かい事情はよく分からんが、貴様の心は今、戴宗という男に会いたいがあまり、焦り、乱れきっている! そのような曇った心では、例えお目当てに再会したところで幸せな結果は招くまい! むしろ、貴様の荒れた心は暴力を呼び、力無き人々を傷つけるだろう! ならば、今ここでその心、私が叩きなおしてくれるッ!」 シュバルツは毅然と言い放つ。 彼が納得できなかったのは三つ目の答え。自分の足を止める人間は容赦なく殺すという意味の返答。 その言葉は、止める側の人間の事情を等しく考慮しないということを示している。 力の無い人間が話しかけてきたアルベルトを頼っても 赤い髪の少年のような正義バカが仲間に誘うためにしつこく勧誘しても 彼はやはり、自らの道を塞ぐ者に対しては非情だろう。 少し質問を投げかけただけで脅しをかけてくる短気さからも、それは容易に読み取れる。 だから、シュバルツは取引を否定した。代わりに、純然たる対抗の意志を示して見せた。 それに対してアルベルトは―― 「クク……フフフ……アハアーッハッハッハッ……分かった。よく分かったぞシュバルツ・ブルーダー…… ――そんなに死にたいのなら、ワシがこの手で地獄に送ってやるわァ!!」 吼え、そして走る。 風のように一瞬で間合いを詰めると、その両腕が、バルカン砲のように唸り、凄まじい連撃を繰り出した。 だが、その嵐のような拳は一撃たりともシュバルツの身体を捉えない。 暴風に晒される柳のようなスウェーバックが、全ての拳に空を打たせていた。 「ハーッハッハッハッハッ!未熟未熟ゥ!威勢がいいのは口だけか!?」 ギッという鈍い音が鳴る。 シュバルツがアルベルトの右腕を上からの左腕で押さえ込んだのだ。 パンチの威力をそのまま利用し、彼は素早く懐に入り込むと、上半身を右腕の下にあてがい そのまま――投げ飛ばした。 「うおおおおおおおお!!??」 細く、長いアルベルトの肢体が勢いよく、コンクリートの地面に叩きつけられる。 普通の人間ならば、これだけで尋常でない痛みを受け、そのまま大地に沈む羽目になるだろう。 しかし、不幸なことに、衝撃のアルベルトは普通の人間ではなかった! 「調子に乗るなぁ!!」 両腕をコンクリートが砕けるほどに地面へ叩きつけ、彼は受身をとっていた。 投げの衝撃を殺しきるや否や、そのまま腕を支点に長い足を半円状に振るい、シュバルツの足を刈る。 「うおっ!」 「ここまでだぁ!!」 足を振るった余勢をかって、そのまま足先から空に飛び上がるアルベルト。 星の重力は浮き上がった男を吸い寄せ、再び地面へ戻そうとする。 彼はその力に逆らわず、利用して、更なる一撃を覆面の戦士へと試みる。 シュバルツは先ほどの足払いで体勢を崩されており、アルベルトのエルボードロップを避ける手段はない ――かに思えた。 「フン!」 シュバルツは崩れかけた態勢をわざと自分からさらに崩し、ブリッジのような形で頭の後ろに手をつく。 そしてそのまま、足を跳ね上げバック転。その足の先にはアルベルトの顎があった。 「グオオ!!?」 下顎部を蹴り抜かれ、ほんの一瞬だけ意識を飛ばされかけたアルベルトだったが、地上に落ちるまでには 正気を取り戻し、両手を地面について間合いを取った。 一方のシュバルツも蹴りを放った一回目から続けてバック転を行い、後方へと退避していた。 高速道路の中央線を挟み、二人の男が再び向かい合う。 「フン……意外とやるではないか」 「そちらこそな。プレッシャーに見合うだけの実力は持っているというわけか」 お互いの実力を讃えあいながら、二人のファイターは相手の隙を狙い、睨み合う。 しばしの沈黙が続いたあと、二人は同時に両腕を広げて構えをとり、そして叫んだ! 「シュトゥルム・ウント・ドランクゥゥゥゥッッッ!!!!」 「うおあああああああああああああ!!!!!」 シュバルツの首から下が高速回転を始め、やがて見えなくなる。 今や、彼の体は、首の付いた黒い竜巻と化していた。 滑稽な姿と侮る無かれ、なぜなら、彼を覆う竜巻は、全てを切り裂く真空の刃なのだから。 自らを、一個の風の弾丸と化し、体当たりで敵の威力を打ち砕く。 それがガンダム・シュピーゲルの、それを操るシュバルツ・ブルーダーの必殺技! シュトゥルム・ウント・ドランクなのだ! 一方のアルベルトも、使う技は奇しくもシュバルツと同系統。 自らの衝撃波を体の回りにまとわせて、自らの四体を紅い竜巻と化す。 不細工な姿と笑う無かれ、なぜなら、彼を包む竜巻は、全てを打ち砕く闘う鎧なのだから。 自らを、一個の雷の剣と化し、体当たりで敵の威力を打ち砕く。 それがBF団十傑集の、衝撃のアルベルトの必殺技! ちなみに名前はまだ無い! 黒と紅、二つの竜巻が逆向きの疾風を起こしながら睨み合っている。 逆巻く風は壁と為り、中央線の上空で、既に火花を散らしている。 「行くぞ!」 「応!」 気合一閃。二つの竜巻は一気にその距離を減じると、轟音をあげてぶつかり合った。 お互いがお互いを弾き合い、また引き合って、弾き合う。 そうするうちに黒と紅、二つの風は混ざり合い、やがて、一つの竜になる。 中央線の上空に天高く舞い上がるノワールとルージュのつむじ風の中で、二人の男が殴り合っていた。 その様はさながら、阿修羅の拳闘。 いくつもの腕がお互いを捉えて叩きあい、いくつもの傷が刻まれていく。 二色に絡む、疾風のヴェールに包まれたその中心で、男達は潰しあう。 シュバルツの左フックがアルベルトの右頬を捉えれば、黒い竜巻がその気勢を増し アルベルトの右ストレートがシュバルツの鼻をへし折れば、紅い竜巻が猛威を奮う。 どちらも退かず、一進一退。風の中の攻防は全くの互角だった。 だが、全ての物事に終わりがあるように、この戦いにも終わりはやってきた。 不意に、紅い竜巻がその円周を膨張させ、黒い竜巻を飲み込んだ! それと同時に、穴だらけの覆面をした男――シュバルツが竜巻から飛び出してくる。 彼は竜巻を足で蹴って跳ぶように、バックステップで空中へと躍り出た。 「逃がすかァ!」 荒々しい声をあげ、シュバルツを追いすがるように飛び出したのは擦り切れたスーツの男――アルベルトだ。 彼もまた、竜巻を足場にジャンプ。シュバルツの上空を確保する。 二人が風の中から抜け出ると、逆巻いていた暴風は嘘のように収まり、消えてしまう。 「これで終わりだァッ!!」 「そうはさせん!」 上を取り、シュバルツに渾身の一撃を叩き込まんとするアルベルト。 そんな彼の下にあって、シュバルツは全く動揺していない。 冷静に額へと手を遣り、今まで隠しておいた武器を手に取ると、空中で素早く投擲する! 「喰らえっ!」 「あまァい!」 だが、現実はあまりに非情だった。 シュバルツが投げた起死回生の一手、虎の子のブーメランは アルベルトが体を捻っただけであっさり虚空へと消えていってしまう。 「ぐっ……」 「フン、どうやらここまでのようだな」 覆面の下で顔を歪めるシュバルツを見て、アルベルトは勝ち誇った笑みを浮かべる。 有利な体勢。通用しなかった奥の手。そして万策尽きたと見える敵の表情。 彼は勝ちを確信していた。あとはこの振り上げた手刀を着地と同時に彼の心臓へと打ち込む。 ただそれだけでこの勝負は自分のものだ。 「十傑集相手によくぞここまでやったと褒めてやろう。 あの世の鬼にでも自慢するがいい」 アルベルトは皮肉を吐き、彼の心臓へと狙いを定める。 だが、その瞬間、シュバルツの苦悶の表情が嘘のように消え去った。 そう、本当に嘘のように。 「ガンダムファイト国際条約第2条…… 破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し決勝リーグを目指すことが出来る……」 「なに?」 「生命の灯が消えない限り、勝利のチャンスは失われないということだ!」 確固たる意志を載せたその声に、アルベルトが一瞬の怯みを見せたその刹那、彼の右足に激痛が走った。 「うおおっ!!?」 何事かと眼をやれば、そこには金色に光るブーメランが深々と突き立っていた。 「馬鹿な!?これは、さっき確かにかわしたはずの……」 「教えてやろう。ブーメランは戻ってくるからブーメランと言うのだッ!!」 シュバルツは道路に着地すると、すぐさま思い切り後ろに跳ぶ。跳んだ先にはグレーの外壁。 そこを足場に三角跳びを行い、今度は逆に、シュバルツがアルベルトの上空をとる。 対するアルベルト。突然の足の負傷は彼のバランスを崩し、地面に尻餅をつかせている。 「とったぞ!」 シュバルツはそのままアルベルトへ向かい、渾身の跳び足刀を叩き込み―― 「甘いな」 地上から空中へ。赤い波動が一直線に伸びる。 シュバルツはそのままアルベルトへ向かい、渾身の跳び足刀を叩き込む寸前で崩れ去った。 空中を飛んでいた影は、そのままの勢いに任せ、投げ出されるように地面に落ちる。 アルベルトは尻餅をついたまま、傍らの人影へと目を遣った。 それは、シュバルツ・ブルーダーだった。 その顔は、勝利の確信に満ちたまま、しかしその胸には致命的な風穴が開いていた。 刹那の後、思い出したかのように血液がその傷から流れ出す。 「フン、切り札を先に切った時点で、貴様は既に敗北していたのだ。 それが分からず徒に勝ち誇るとは……未熟とはまさに貴様のような奴のことを言うのだろうな」 右足に刺さったブーメランを引き抜きながら、衝撃のアルベルトは一人ごちる。 そう、彼の名はアルベルト。人呼んで衝撃のアルベルト。 全身から放つ衝撃波を武器とする、BF団十傑集の一人。 シュバルツ・ブルーダーは彼の二つ名を、その能力を知らなかった。 彼が知っていることといえば、せいぜい竜巻を出せることくらい。 ゆえに、シュバルツ・ブルーダーは、未知の衝撃波にその胸を貫かれ、死んだのだった。 【シュバルツ・ブルーダー@機動武闘伝Gガンダム 死亡】 ◆ 朝日の照らす高速道。 黒い道とグレーの壁が延々と続くそこを、衝撃のアルベルトは西に向かってただ歩く。 腕をだらんと垂らし、荒い息を吐きながらの低速度移動。 全身をフルに使って気張っても、成人男性の歩行速度を超えることはない。 シュバルツの服を使って応急処置を施した傷口の痛みを噛み締めながら アルベルトはひたすらに考えていた。 こんなはずではなかったと。 アルベルトの算段。 それは、彼が現状で戴宗に辿り着くための最短ルートだったはずだ。 それがどうしてこんなことになってしまったのか。 初めに名簿で戴宗の名前を見つけた時点では、アルベルトの頭に 「早く戴宗を見つけなれば、奴は無茶をした挙句死んでしまうかもしれない」 という発想は微塵も存在しなかった。 自分も戴宗も元の世界では、世界十指に名を連ねようかという闘士。 いくらここが殺し合いの場とはいえ、そう簡単にやられはせんだろうとタカをくくっていたのである。 だが、先刻デパートで行われた激闘が、彼の考えを改めさせた。 東方不敗と名乗ったあの男は――あまりにも強かった。 自分と互角以上に戦える人間など、数名の他には存在しないと思っていたアルベルトにとって 偶然出会った老人と引き分けたという事実はあまりにショッキングだった。 彼が東方不敗との戦いの中で感じた死への恐怖は、連鎖的に戴宗の死をも意識させた。 一度、自覚してしまうと、もう歯止めは効かない。 甦った戴宗が自分とは相見えぬまま、再び失われてしまう恐怖は、瞬く間に彼を侵食した。 だから、彼は一刻も早く戴宗を探すための策を必死で考えた。 藁にも縋る気持ちでデイパックをひっくり返してみたものの 人探しの役に立ちそうなものは、せいぜい旧型のボイスレコーダーのみ。 これにはさすがのアルベルトも絶望しかけたが、それでも頭を絞って自分なりの最善策をはじき出した。 彼の立てた作戦はおよそ以下の通りだった。 1.他の参加者に接触し、戴宗のことを知らないか尋ねる 発信機受信機や照明弾の類を支給されなかった彼にとっては、自らの足のみが唯一の探索手段。 だから、まずは他の参加者に出会わないことには話にならない。 2.相手が戴宗のことを知らなければ、伝言を頼む この舞台には80人以上の参加者がいる。 殺し合いが始まってから経過した時間も考慮すれば、1で運良く戴宗の情報を仕入れるのは至難の技だろう。 そこで、相手には戴宗への伝言を頼む。こうすれば、一人で探し続けるよりはいくらか効率がよいはずだ。 ちなみに、彼が先ほど伝言として用いたのは以下の文言である。 『アルベルトが15 00にE-3の豪華客船で待っている。 もし、お前が来なければ、ワシはBF団のやり方に則って動く。 そっちで勝手に探すことだ。再会を期待する』 “BF団のやり方”とは、無差別な破壊行為のことを指している。 これは、戴宗に危機感を抱かせ、豪華客船へと呼び込む餌であり かつ、戴宗に出会えなかった際のアルベルトの行動指針でもある。 彼は強要された殺し合いを好むほど下種ではなかったが 偉大なるビッグ・ファイアの元へ帰るための殺人を厭うほど聖人でもない。 3.自分や戴宗の素性についての詮索、情報交換などは全て断る 彼はできるだけ早く戴宗を見つけなければならなかった。 そのためには、お喋りに無駄な時間を費やしている余裕など無い。 弱者と情報交換した挙句、変に懐かれたり、付き纏われたりしても厄介だ。 4.3の条件を飲んでもらう代わりに、ボイスレコーダーを使った伝言を一つ預かる 3の条件だけを一方的に押し付けた場合、不満を言う者が必ず出るだろう。 だから、取引の条件としてこちらも伝言を預かることにする。 自分の肉声が仲間に伝わるかもしれないというのは人にとっては大きな魅力になる。 仲間を探していない人物相手には使えないが、まさか、この会場で人を探しているのが 自分だけということは無いだろう。アルベルトはそう考えていた。 5.できるだけ戦闘は避けるようにする この世界では、何故か戦闘による消耗が普段より大きい。 加えて、参加者の中には、東方不敗のような強者がまだまだいる可能性がある。 いつものように力に任せて戦い続けていては、戴宗を見つけるまでこちらの身が持たない。 ただし、戦闘を行わないことで、徒に時間ばかりが消耗されるようなら 躊躇い無く戦い、障害を排除するべきである。 ……彼はこの項目をもう少し厳格に守るべきだった。 これが最善のはずだった。 これが最短のはずだった。 だが、結果はどうだ。望まない強者と望まない闘争をした挙句、満身創痍で長距離走もままならない。 この策ではやはり駄目なのか……だが、これ以上の策は今のところ立てることができない。 ならば、この策で行くしかないのか。 いや、そもそも策以前に自分には休息が必要だ。休んで体力を回復しなければ、それこそ、いつ殺されても不思議はない。 嗚呼、しかし、そうして時間を浪費している間にも、戴宗の命は危険に晒されている。 二人目に出会った男、シュバルツ・ブルーダーもまた、自分と十分に戦える強者であった。 この舞台には一体何人の兵が跋扈しているのか見当もつかない。 戴宗が仲間を救うために無茶をやり、命を落とす未来が、着々と現実味を帯びてきている―― 不本意な結果に終わった策、思うようにならぬ身体、そして戴宗の死に対する恐怖。 様々なモノがアルベルトの精神の中で渦を巻き、うねり、蠢いていた。 それはゆっくりと、しかし確実に彼を削り取っていく―― ◆ もう二度と手に入らないはずだったものが、再び手に入る位置まで降りてきて しかし、自分の努力が足りないがゆえにまたとり逃してしまう。 これは、ある意味で、大切なものを初めて失うよりも辛いことだ。 何故なら、これを体験する者は、既に失われることによる痛みを嫌というほど知っているのだから。 かつてカミナを失ったヨーコやシモンなら、あるいは今のアルベルトの気持ちが分かるかもしれない。 だが、彼らは未だ、甦ったカミナに気がついていない。だから、今の彼らにアルベルトの気持ちは分からない。 もしかしたら、かつてシュバルツを失ったドモンなら、あるいは今のアルベルトの気持ちが分かるかもしれない。 だが、彼は未だ、甦ったシュバルツに気がついていない。 放送が、甦ったシュバルツの死を彼に伝えたならば ドモンはアルベルトの気持ちが分かるだろうか? 【A-6/高速道路/1日目/早朝】 【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】 [状態]:疲労極大、全身にダメージ、右足に刺し傷(それぞれ応急措置済み) スーツがズダボロ、やや精神不安定 [装備]:なし [道具]:支給品一式、シガレットケースと葉巻(葉巻2本使用)、不明支給品0~2(本人確認済み) ボイスレコーダー@現実 シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム 赤絵の具@王ドロボウJING、自殺用ロープ@さよなら絶望先生 [思考]: 基本方針:戴宗を一刻も早く探して合流し、決着をつける 1:戴宗を再び失うことに対する恐れ。そうならないために戴宗の情報を集める 2:休息をとり、体力を回復させる 3:脱出の情報を集める 4:いずれマスターアジアと決着をつける 5:他の参加者と馴れ合うつもりはない 6:脱出不可能の場合はゲームに乗る [備考]: ※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です ※素晴らしきヒィッツカラルドの存在を確認しました 時系列順で読む Back 極大射程 Next 希望の船、絶望の城 投下順で読む Back 新しい朝が来た Next 希望の船、絶望の城 042 両雄思案――そして激突 衝撃のアルベルト 103 片道きゃっちぼーる2・伝言編 048 風のイ・タ・ズ・ラ シュバルツ・ブルーダー
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セカンドライフという言葉も徐々に知られるようになり、今やそのユーザー数は、1000万人を超えました。しかし、セカンドライフは、あくまで、その開発元であるリンデン社(米国)によって提供されている英語圏を中心とした3Dコミュニケーション・サービスです。それに対し、オープン・セカンドライフというのは、同じような3D仮想世界システムをオープンソース化、つまり、誰もが自由に独自のセカンドライフ世界を構築・運営できるシステムにしようというプロジェクトです。 現在開発は、バージョン0.6。まだ、セカンドライフの機能すべてが実現できているわけではありませんが、プロジェクト活動は日々非常に活発に行われており、ものによっては、本家セカンドライフを越える機能(C#スクリプト、メッシュプリムなど)さえ実装されつつあります。 すでに、セカンドライフを楽しんでいる方にとっては、オープン・セカンドライフをによって次のようなメリットがあるのかもしれません。 通常、リンデン社が運営しているセカンドライフでは、仮想世界内に自分の家をもつために、まず、土地が必要になります。しかし、せっかく現実ではけして持てないような夢を大豪邸で暮らしてみたいと考えても、一般的なインターネットサービスの料金程度の金額では、わずかな土地しか得ることができません。 まして、島をまるごと1つを持とうなどとすると、初期費用として約20万円、さらに、毎月の維持費も数万円も支払わなければなりません。 しかし、オープン・セカンドライフは、その仮想世界自体を自分自身のパソコン上で動かすことができるため、無料で島の主(あるじ)になることが可能です。 ただし、たくさんの人が集まるショッピングモールを島につくるとなると、リンデン社が提供しているコンピュータほどの性能は必要ないものの、それなりの性能のパソコンは必要になるでしょう。 しかし、単に、広い土地で、ごくごく親しい友人たちとまったりと生活したい人にとっては、かなりのオーバースペックです。 また、現在セカンドライフは、国や文化、思想(判断基準など)、通貨、言語等が異なる人々が多数参加していますが、あくまでアメリカに拠点をおき、その法律を遵守しなければならない1つの法人であるリンデン社のみによって管理運営されている状態には限界があり、様々な支障もではじめています。 しかし、オープン・セカンドライフの場合は、現在のホームページと同様に、仮想空間を置く場所は、国や法人など、それぞれ独立した組織よって個別に持つコンピュータ上に構築でき、個別に運営することが可能になります。従って、仮想世界において、リアル世界のルールや法律を柔軟に適用できるため、より実用的なサービス展開を行うことが可能です。 オープン・セカンドライフを使って、文字や画像によるインターネット・コミュニケーションという枠を越え、3Dアニメーションを使った温もりあるインターネット・コミュニケーションをより多くの方々に体験してもらえると幸いです。
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セカンド集動画や対戦動画から集めた上級者のセカンド集です。 動画で見たあの状況あのツモを再現しています。セカンドの練習、考察にどうぞ。 セカンド実例集---メイン popoセカンド集---更新途中
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【名詞】せかんど マンドリンオーケストラでは、マンドリンをファースト とセカンドに分ける。セカンドは主に裏メロを担当する。一見地味だがセカンドがあるのとないのでは音の厚みが全く違う。
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唇を閉ざせ 題名:唇を閉ざせ 原題:Tell No One (2001) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:佐藤耕士 発行:講談社文庫 2002.10.15 初版 価格:上下各¥990 コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。 山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。 本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるという奇妙な出来事に端を発し、過去からの有象無象やら、関わった者たちの罪と罰が表面化してゆくストーリー。 二十代の若き主人公は元より、彼を取り巻く個性的なキャラクター造形が素晴らしく、人間的で魅力的な悪党たちや、サイボーグのような冷徹な悪人、また善悪の彼岸を往来する迷い人のような存在も多彩に描かれ、彼らのもたらす化学反応が、ストーリーを激しく燃焼させてゆく様は、読み応えに満ちている。いわゆるジェットコースター・スリラーなのである。 過去のシリーズ物と、最近の熟成した作品との狭間に位置するホットな書きっぷりが、作風をいい感じに料理してくれており、この作者が一気にエンタメ小説の世界的なスターダムに持ち上がったエネルギーに納得させられる何かを、しっかり感じさせてれる。 なお、『ランナウェイ』『森の中の少年』にも登場する女弁護士ヘスターが本作でもしっかり存在感を示してくれている。ぼくがこの作品を読んだのもヘスターの初登場作と聞き及んでいたことが大きい。熱い弁護士ヘスターのファンには是非とも本作での活躍もご覧頂きたい。
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https://w.atwiki.jp/curling/pages/131.html
セカンド 4人のメンバーのうち、2番目である3投目、4投目を担当する人のこと。 参考 リード サード スキップ(フォース)